女子プロゴルフ渡邉彩香、復活のドライバーショット!

ユージン
ゴルフ楽しんでますか?

ゴルフスイングコーディネーターの山田友人です!(@yj_golfrecipe)

2020年は新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、あらゆるスポーツの開催が中止されてきました。

女子プロゴルフトーナメントも開催試合は、17試合目となるアースモンダミンカップ(6月25日~29日千葉県千葉県カメリアヒルズカントリークラブ)が2020年の初戦となった!

選手もファンも待ちに待ったトーナメント初戦!

そこで感動的な優勝を果たしたのは、長年不振に苦しんで、5年ぶりに栄光をつかんだ渡邉彩香選手でした!

身長の小さい選手が多い、日本の女子プロゴルフ界において、渡邉彩香は172cmと恵まれた体格で、持ち前のロングドライブを武器に2014~15年に3勝をマーク!賞金女王を見据える選手となっていった。

しかし、全米女子オープンなどの海外の試合で、思ったようなボールが打てないこと、より精度の高いショットを求め始めてから、思ってもいなかったスランプに陥ってしまった。

その彼女がどのように復活を遂げたのか?

ということで今回は、「女子プロゴルフ渡邉彩香、復活のドライバーショット!」をお届いたします!

あなたのゴルフにも、役立つことがきっとあるはずです!

渡邉彩香のゴルフとは?

2015年くらいの調子が良いときは、飛距離がでることが最大の武器で、彼女の最大のメリットであった。

多少ボールが曲がってラフに入ったとしても、短い番手のクラブで打てるから、とりあえずそんなに苦労することなく、スコアを作ることができていた。

それが、彼女自身、持ち味だと考えていたわけです。

恵まれたカラダ、秀でた才能、ずば抜けた飛距離、努力を怠らない姿!

5年前の彼女は、すでにトッププレーヤーの資質を備えた、日本女子プロゴルフ界の期待のスターだったのです!

2013年に賞金ランク46位で、シード権を獲得。

2014年には、アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIで初優勝をはたし、賞金ランク11位に!

2015年には、ヤマハレディースオープン葛城、樋口久子 Pontaレディスに優勝し、賞金ランク6位にまで上がった。

翌2016年は、リオオリンピックの開催年にあたり、代表入りを最大の目標としていた渡邉彩香は、選考締め切り直前に開催された全米女子オープンに出場。

その「全米女子オープン」の最終日最終ホールで池に入れ、その座を逃していた。

ドライバーはフェードだけじゃなく、ストレート系、ドローも打ちたい―。

そして、もっと飛距離をアップさせたい!

球筋を意識し変化を求める過程で調子を崩し、渡邉自身がドライバーの不調をはっきり自覚したのは、2017年の夏前だった。

それから泥沼にはまった。

ドライバー復活のカギは?

昨季(2019年)もティショットでドライバーを使用せず、3番ウッドやアイアンで打つシーンも多く見られた。

フェアウェイキープ率をみると、2018年が「44.2308%」の95位、19年も「44.1837%」の97位と低迷。

比例するように成績も落ち込み、この2年は賞金シードも手にすることができなかった。

ちょうど異変が現れ始めた2017年から、渡邉彩香のキャディーとなったのが、川口淳さんであった。

川口キャディーは、当時を振り返り「彼女が調子を崩しているのは知っていたが、こんなところで終わってしまう選手じゃないし、将来日本の女子プロゴルフ界を背負って立つ選手だという思いが強くあった。自分が何とか出来るなんて気持ちは毛頭なかったけれど、でも、どうしても担ぎたかった!」と話す。

2017年は36位、18年は55位、19年は115位と、渡邉彩香はトップ選手の座から落ちていった。

その姿を隣で見守っていた川口キャディーは、自分が以前プロを目指していた頃の仲間であった、中島規雅コーチに教えてもらったらどうだろうと考えた。

中島規雅コーチは、昨年のアース・モンダミンから正式にコーチを引き受け、結果として一年後の今年、アース・モンダミンカップで渡邉彩香を優勝へと導いたのだ。

では、なぜ中島コーチは渡邉彩香をこれほどの短期間に復活優勝へと導くことが出来たのでしょうか。

中島コーチは、まず始めに彼女に確かめたことは、「今後やっていくのは、ドローでいくのかフェードでいくのか?」ということだった。

その問いに対して渡邉彩香は間髪いれずに「フェードじゃないとダメ。それを打っている時が気持ちよくゴルフができていた時」と、原点に立ち返り、フェードでいくことを即断したという。

その方針が決まって、中島コーチが彼女に与えたポイントは3つ。

「上体を突っ込まないこと」

「クラブをアウトサイドに上げること」

「オープンフェースで振り抜くこと」

この3つが出来れば、彼女のポテンシャルからすれば、強いフェードが戻ってくると確信していた。

この3つのポイントによって具体的にどのようなスイング修正ができたのでしょうか。

「上体を突っ込まないこと」・・・

突っ込むと、手が前に出てプッシュスライスが出てしまうのでそれを抑え、ヘッドを走らせることが目的だった。

「クラブをアウトサイドに上げること」・・・

以前はインサイドに上げて無理矢理カットに下ろしてフェードを打っていたものを、アウトサイドに上げることによって肩の回りすぎを抑えて、オーバースイングが収まってダウンスイングでは肩のタテ回転でクラブが下りてくるようになった。

「オープンフェースで振り抜くこと」・・・

フェースを返さず振り抜くことによって、強すぎたリストターンを抑えて、思い描いた強いフェードが打てるようになった。

渡邉彩香は中島規雅コーチと、徹底的にスイングを見直し、持ち味を取り戻すため悪癖改善に向き合った結果、「3月くらいからいい状態になっていた」と話す。

「インパクトの形が大きく変わりました。以前は頭が左サイドに流れていましたが、今は肩がタテ回転になったことで、頭が突っ込まずに残りやすくなりました。インパクトの時のフェース面もしっかりキープ出来ているので、左に振り抜いても安定した曲がり幅のフェードがうてるようになった!」

渡邉彩香、復活の大きな壁とは?

彼女のポテンシャルがあれば、強いフェードが打てることがわかっていたが、中島コーチには、乗り越えなければならない大きな壁があることもわかっていた。

それは、渡邉彩香の心にわずかに残る「恐怖心」だった!

スイング改造に取り組み始めた当初の試合で、渡邉は、左の林に向いて構えておいて、右の林に向けて90度曲がるプッシュスライスを何度も打っていたという。

要するに、左サイドが怖いから、クラブをインサイドから入れて右に逃がす打ち方をしてしまうのだ。

やっかいなことに、スイング改造で取り組んでいる、本来のスイングが出来た時には、アウトサイドからクラブは入ってくるから、一直線に左の林に飛んで行くこともあった。

左右のフェアウェイに並ぶ、多くのギャラリーの前でティーショットが右に左にバラければ、普通は恐怖でクラブが振れなくなる!

多くの才能溢れるプロゴルファーが、曲がる恐怖でドライバーが振れなくなる、いわゆる「ショットイップス」に陥り、姿を消していった。

状況からすれば、渡邉彩香がそうなってもおかしくないと思われた。

中島コーチが、渡邉の復活の大きな壁と考えていたのが、この恐怖心との戦いだった!

しかし、渡邉彩香は並のプロゴルファーではなかった!

それは、彼女には「どんな時でも振り切る!」という資質が備わっていたからである!

ショットが曲がるという恐怖心と戦いながらも、彼女は一度も逃げることをしなかった。

「自分の曲がるショットに対する恐怖心はずっと持っていました。試合に行くたびに、今日はいくつ暫定球を打つのかな、何個ボールを無くすんだろうなと思っていました。気持ちよくラウンドなんてずっと出来なかったけど、それでもなぜか、怖くて振れなくなることはなかったんです。怖いから合わせて振ったところで元の良いショットに戻れるとは思っていなかったし、自分なりに納得いく振り感で真っ直ぐにいくようにならないといけないと思っていた。だから試合に出たくないと思ったことは一度もないし、試合では、いつも振り切ることだけはし続けていたと思います。」

渡邉彩香は、調子が悪い時でも仲間から「振り切れてるじゃん!と声をかけられることがありがたかった。」と語っている。

そして渡邉彩香の復活の日!

渡邉のドライバーショットは、2019年のQTまでに全盛期の50%の状態にまで上がってきて、QTの結果は19位となり、2020年前半のシード権をとることができた。

2月のタイ合宿では、80%の仕上がりとなり、難しいコースで60台のスコアを連発するようになっていた。

そして迎えた1年後のアース・モンダミンカップ初日。

中島コーチ、川口キャディーのわずかに残っていた不安は、渡邉彩香のスタートホールのティーショット後に吹き飛んだ!

250ヤード先のバンカーを悠々と越え、270ヤード地点にある大きな枝に当って落ちた。わずかにフェードがかからなかったものの、左への恐怖を微塵も感じさせないショットだった!

渡邉彩香は、自信を持っていた!

でも、まだまだ結果を求める段階ではない!ということを言い聞かせながらのラウンドを続けた。

川口キャディーとの合い言葉は「お散歩」!

「お散歩にバーディーもイーグルもないから!」

「欲が出ると、調子にのってんなあ!と川口さんから突っ込まれました。」

4日間のラウンド中、一度もスコアボードを見ないようにしたという。

「イメージどおりの弾道やスイングの力感で、全部はうまく噛み合ってきた!最終日後半のハーフのショットはほぼ完璧に近かった!」と川口キャディーは振り返る。

荒天により5日間に及んで行われた72ホールを終え、渡邉彩香は最強の賞金女王、鈴木愛とのプレーオフという舞台を迎えることになった。

意外にもプレーオフは初めてで、緊張のなかにも、久しぶりに優勝を意識したプレーができるという喜び、嬉しい気持ちのほうが大きかったという。

ティーイングエリアの右サイドに立ち、左のフェアウェイに向かって打った球は、落ち際でわずかに右に落ちるパワーフェード!やはり完璧だった!

セカンドは、ピン奥4メートル。

得意の下りのバーディーパットが残った。

先に打った鈴木愛の上りのロングパットは、さすがのパットで一瞬入った!と思わせるナイスタッチのパットだった。

しかし、それを見た後でも渡邉彩香はまったく動じることなく、最後にコロンと入るジャストタッチのイメージを、その通りに打ち、ボールがカップインする前から高々とパターを空に突き上げ、優勝を確信した!

負けて悔しいはずの、鈴木愛も笑顔で渡邉に拍手を送った。

そんな渡邉彩香の使用したドライバーは、2015年モデルのブリヂストンゴルフ J015(9.5°/PT-6X/44.75インチ/D1)。

つまり5年前のモデルのドライバーである。

契約メーカーとしては、当然ニューモデルのドライバーを使用してほしいところだと思うが、彼女のフィーリングを優先して、旧モデルのドライバーを使用することを許したメーカーにも拍手を送りたい!

プレーオフでも迷わずこれを振り抜き、綺麗なフェードが放たれ、画面に掲示されたトラックマンの数字は「ボールスピード71m/s」でキャリーが248ヤード。

女子プロの中では規格外の飛ばし屋が、不安なく気持ちよく振ることができれば、復活したフェードヒッターの視界は明るい!

様々な条件に、心を囚われることなく、目の前の1打1打に挑んでいく渡邉彩香の完全復活と、日本女子プロゴルフ界を代表するプレーヤーとなる日は、そう遠くないだろう!

ユージン
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