パターの打ち方、選び方は、自分の感性が大切です。「距離感」の「感」は「感性」の「感」だと言えます!もちろん、基本的な打ち方を覚えて、訓練をすることは不可欠ですし、練習をすればするほど上手くなります!パターの選び方も感性です。これは入りそうなヘッド形状だなとか、この形好きだなとか、そうした感覚が優先されて良いのです!では、シャフトの長さの選び方は、何か基準があるのでしょうか?自分の身長には、どれくらいのシャフトの長さが適正なパターなのか?身長とパターシャフトの長さの関係を考えてみましょう。また、長尺パターや中尺パターの使い方についても知っておきましょう!
適正なパターシャフトの選び方
「パターのシャフトの選び方は、身長と関係があるのでしょうか?」と質問されることがよくあります。
その答えはまず、パターの選び方は、アドレスからとアドバイスさせて頂きます。
パターのグリップの型は前面が平らになっています。そこに両手の親指をそれぞれしっかり乗せます。
距離感を安定させるため、グリップはしっかり握ります。
スタンス幅は肩幅に開き、まっすぐ立って背筋を伸ばし、まず胸の前に両腕を伸ばして、肩と両腕で大きな三角形を作ってから両肘を胸の横に引き付けて小さな三角形を作ります。
背筋を伸ばしたまま、股関節からカラダを前傾させます(身長が大きく見えるように構えます)。パターヘッドが鼻の真下に来るよう地面につけます。これがパッティングのアドレスです
- まずもっとも大切にしてほしいことは、右手を主体としたパッティングです。
- 右手グリップを強く握り、手首の角度も変わらないようにしっかり固めます。
- 右肘を脇にしっかり引きつけ、上体と右腕が完全に一体化して動くように意識します。
- パターヘッドはあくまでも、ターゲットライン上をストレートに引いて、ストレートに出すという動きを、右腕で操作します。
パターのフェースの向きと右手のひらが、同調することでボールにきれいな縦の回転を与えられるのです。
したがってパターの練習をする時は、パターを右手一本で持ち、ターゲットラインに対して直角にまじわりながら、ボールを転がしていくようにします。
フェースの向きがターゲットに対して常にまっすぐに出て、ボールがストレートに転がるようにするための、シンプルイメージは、「ターゲットライン上をストレートに引いて、ストレートに出す」ということだけです!
標準的なアドレス、前傾姿勢がとれたら、それに伴って手の位置が決まり、パターの長さも決まってくるという順番になります。
パターの選び方も、標準的なアドレスで使用する場合の長さは約5種類くらいが使用されている長さです。
32インチ(短い)、33インチ(やや短い)、34インチ(標準)、35インチ(やや長い)、36インチ(長い)
目安としては、170cmで33~34インチくらいを選び方の基準にする。
- 身長150cm・・・32インチパター
- 身長160cm・・・33インチパター
- 身長170cm・・・34インチパター
- 身長180cm・・・35インチパター
人によって、身長とは関係なく、パターのラインの見え方というものは違っていますから、目線を上げて前傾姿勢をあまり深くしない方が、ターゲットライン上をヘッドがストレートに引けて、ストレートに出せるという場合もあります。
そういう人は、標準よりも長めのパターを選んだほうが良いでしょう。
その反対に、身長に関係なく目線を出来るだけ地面に近づけてアドレスした方が、安定してターゲットライン上をヘッドがストレートに引けて、ストレートに出せるという場合もあります。
そういう人は、標準よりも短めのパターを選んだほうが良いということになります。
大江香織の長尺パター・ミシェル・ウィーの短尺パター
ここで、二人の女子プロゴルファーの興味深いパターの選び方について、見てみましょう。
大江香織選手
大江選手は少数派の長尺パター愛用者で、身長は153cmです。
10代後半に「パターイップス(パターヘッドが思うように動かせなくなる病気)みたいになって…」と悩み、以来19歳から長尺パターを使い、12年にフジサンケイレディスでツアー初優勝を果たしました。
しかし、13年に16年から「アンカリング禁止」というルール(後半で説明します)が実施され、「私はもう終わりだ」と思ったという。
それからパターと打ち方の両方を試行錯誤した大江選手は、2016年シーズンに入ってもまだ決め手が見つからず、開幕戦では長さ25インチと、まるでおもちゃのようなパターまで練習していました。
そして大江選手が見事に復活優勝を成し遂げたTポイントレディスで手にしていたのは、35インチの中尺パターだった。
大江選手が使用しているような中尺パターのメリットは、標準的な長さのパターが短い分、前傾姿勢が深くなるので腰に負担がかかるのに対し、中尺パターは前傾姿勢が浅いので腰への負担が少なくなり、長時間の練習もしやすい。
腰痛持ちの方には、負担が軽減されることから、シニアプロゴルファーの中にも愛用者は多数います。
ミシェル・ウィー選手
ミシェル・ウィー選手は、女性版タイガー・ウッズと呼ばれ、身長183cmの長身から放たれる豪快なショットでギャラリーを魅了しています。
しかし、どうしてもあの独特なパッティングスタイルの選び方には違和感を感じます。
海外では、水平になった背中がテーブルの天板に似ていることから“テーブル・トップ”と呼ばれています。
スタンスを広くとってグリーンに対して上体を股関節からほぼ90度前方に倒し、肘を深く曲げて体に密着させて固定しています。
「初めは一般的な方法でパットをしていたんだけれど、2012年にパットの調子がとても悪くて、それまでのスタイルが快適でないと感じだしたの。それで、身長の低い人のようにプレーしてみようと思ったのよ。そうすれば、もっと簡単にパッティングができるかもしれないってね。私は身長が高いからボールをとても遠くに感じるので、ボールにすごく近づくようにしてみたの。そうしたら、とても良いフィーリングを得られてパットが入り出したわ」
どうやら、練習の際のふとした思いつきでのトライが、きっかけだったようです。
身長183cmのミシェル・ウィー選手が使用しているパターの長さは33インチと言われています。
一方、身長153cmの大江香織選手が使用しているパターの長さは35インチ。
身長とパターの長さを定義付けてしまうのは、難しいということになりそうです。
パターのアンカリングとは?
アンカリングとは、クラブのグリップエンドを体にくっつけたり、握ったグリップを体に押し当てて、そこを支点とし振り子のように打つパッティングスタイルのことをいいます。いわゆる、長尺・中尺パターを使用するときのスタイル。
アンカーという言葉は船を動かないように支えるために使う船の碇(いかり)からきています。
長尺パターが誕生したのは1980年代後半頃で、グリップを身体に固定すると、ストロークが安定するとして人気となりました。
メジャーでは、全英オープン選手権を制したアーニー・エルス(南アフリカ)ら、過去5大会のうち3大会で長尺パターや“ベリー(腹部)パター”と呼ばれるグリップを体に付けて固定する打ち方をした選手が優勝。
この打ち方をするプロがメジャーで優勝するなど、急激に台頭したため、規制すべきという議論がおこっていました。
ルールを統括するR&A(Royal and Ancient Golf Club)とUSGA(全米ゴルフ協会)では「ゴルフのプレーの本質をゆがめる」として、2016年からこの打ち方を禁止することを発表しました。
ゴルフはクラブを両手でコントロールする技術を競うものなので、クラブを手以外の場所で固定して安定させて打つことが違反行為になります。支点を固定するパッティングスタイルは、本来のゴルフの在り方と異なるということで禁止ということになったようです。
正式には2016年1月1日より発効されたということなので、これ以降、アンカリングのストロークをしたゴルファーはマッチプレーではそのホール負けとなり、ストロークプレーでは2罰打のペナルティを受けることになります。
アンカリングが禁止されたので、つい長尺や中尺のパターが使えなくなった!と思ってしまうゴルファーがいると思うのですが、アンカリングという打ち方が禁止になったというだけで、長尺や中尺パター自体を使用することが禁止になったわけではありません。
まとめ Q&A
Q パターの選び方は、身長によって決まりますか?
A 標準的なパッティングスタイルの場合は、目安になる長さを基準とした選び方をおすすめしますが、人によってラインの見やすいスタイルは様々なので、自分のもっともやりやすいスタイルに合わせた、パターの選び方をすると良いのではないでしょうか。
こちらの記事もご覧下さい⇒パターの選び方!ネックとヘッドの種類について